脳神経内科

脳神経内科について

近年の神経内科治療の進歩は目覚ましく、免疫性神経疾患の治療やジストニアや脳卒中後遺症等に対するボツリヌス毒素の応用、片頭痛発作に対するトリプタンの導入等、めざましい進歩を示しています。神経疾患の遺伝子解析などによる診断精度の向上にとどまらず、根治療法を目指す再生医学研究や遺伝子治療の試みが進められています。
その一方で、神経内科疾患には難病とされる特定疾患も多く、複雑な心理負担を抱えている患者や家族も多くいる特徴があり、神経内科専門医には多面的な臨床能力が求められます。

病棟では1人の患者さまの診療に、主担当医の他に、主任部長、上級医、研修医がチームで関わります。研修医、専修医(専攻医)、上級医による屋根瓦式の教育体制をとります。総回診、病棟カンファレンス、チャートカンファレンス、リハビリテーション科を中心とした多職種合同カンファレンス等により、多方面から総合的に診療内容の検討や治療方針の決定がなされ、診療が進められます。
中心となる病棟には、神経内科の他に、脳神経外科が配置され、脳卒中等の中枢神経疾患診療には協力体制を構築しております。

当院においては、脳卒中急性期診療の他に、神経変性疾患(パーキンソン病、認知症、脊髄小脳変性症等)、脱髄性疾患、感染症、頭痛、てんかんなど広範囲の疾患に従事しますが、他科との関連がある疾患が多いのも特徴です。
当院における脳卒中診療においては、rt-PA治療に加えて、脳外科において血管内治療にも対応しております。実際、血栓溶解療法が施行された患者の7割程度に血管内治療が施行されています。
脳卒中診療においては、東京都SCUネットワークの施設として、多くの脳卒中患者の受け入れ実績があり、また、認知疾患医療センターとして、台東区の基幹病院として地域医療へ多大な貢献も果たしております。

特色・方針・目標

脳神経内科診療は、初期研修医も含めた40数名の内科の中における専門診療科としての位置づけで行われます。チーム医療として、特に総合診療内科医師、脳神経外科医師との連携体制が密にとられ、他に常勤・非常勤臨床心理士5名、認知症相談員2名を配置し、密接な協力体制で診療に臨んでおります。

多くの神経疾患を経験することが可能であり、クリニカル・パスの導入を図り、神経難病や脳卒中の診療等における地域での医療連携システムの構築にも力を入れています。認知症疾患医療センターにおけるもの忘れ外来では、多くの認知症患者の診療にあたっております。
救急科が受け入れる救急車は年間4000台程ですが、神経疾患の占める割合も多く、神経内科は救急医療の一翼も担っております。

臨床研修

当院における臨床研修は、初期臨床研修、内科専門研修(新専門医制度の基幹施設として申請済み)を基盤として、その後のサブスペシャルティー研修としての脳神経内科研修に対応し、他連携施設における専門医研修も通して充実した総合的研修体制がとられています。多彩な神経疾患を数多く経験できると考えます。
内科専門医研修では、慶應大学病院、東京医科歯科大学附属病院、東京医療センター、国立がん研究センター中央病院、東京都立駒込病院、東京都済生会中央病院等と連携しています。

指導方針

当脳神経内科における指導方針としては、神経学的診察法、検査手技、EBMの実践方法をマスターすることは当然のこととして、脳神経内科を学ぶ基盤となる内科医としての全身的な病態把握にも熟達し、高い臨床能力を身に付けることが重要と考えています。
当院においては、内科専門医研修を通して新内科専門医を取得後、日本神経学会専門医、日本認知症学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本頭痛学会専門医等を取得することが可能となります。

対象疾患や症状

認知症診療では2015年9月に認知症疾患医療センターの指定も受け、頭痛の専門医療機関としても診療を行っております。慶應大学神経内科、脳神経外科の応援のもとに特殊疾患や難治疾患の診療も受けております。

対象疾患

  • パーキンソン病
  • 認知症
  • 脊髄小脳変性症
  • 多系統萎縮症
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 多発性硬化症等の脱髄疾患
  • 重症筋無力症
  • ギラン・バレー症候群
  • てんかん
  • 神経感染症

症状

  • 頭痛
  • めまい
  • 意識障害
  • 失神
  • けいれん
  • 歩行障害
  • 運動麻痺
  • 筋力低下・筋萎縮
    • 不随意運動
  • 視力障害
  • 言語障害(失語・構音障害)
  • 嚥下障害
  • 感覚障害・しびれ
  • 神経痛
  • 自律神経障害
  • 記憶障害・認知機能障害(物忘れ)

検査内容・機器

  • 神経心理検査
  • レントゲン検査(頭蓋、脊椎、胸腹部その他)
  • 頭部CT検査(685件/年)
  • 頭部MRI・MRA検査(1132件/年)
  • 脳SPECT検査(125件/年)
  • DATスキャン検査
  • MIBG心筋シンチ検査
  • トレッドミル検査
  • 最新血管造影装置 1台(66件/年)
  • 超音波検査(頚部、心臓、腹部、四肢血管)(頸部 758件/年)
  • 携帯型・植え込み型ホルター心電図検査
  • 脳波検査(96件/年)
  • 神経伝導速度・筋電図検査(151件/年)
  • 誘発電位検査(15件/年)
  • 筋生検(3件/年)
  • 持続的血液濾過透析(CHDF)
  • 血圧脈波検査装置

実績

2022年度 来院患者数 

外来初診患者数 447
外来再診患者数 6,678
入院患者数 200

2022年度 疾病別退院患者数 

脳梗塞 176
てんかん 19
前庭機能障害 14
一過性脳虚血発作 11
パーキンソン病(症候群) 9
ギラン・バレー症候群、慢性炎症性離脱性多発神経炎など 6
多系統変性症、神経調節性失神など 6
多発性硬化症 5
誤嚥性肺炎 5
その他 57

対象期間2022年4月1日~2023年3月31日

脳神経内科の医師紹介

  • 白井 俊孝 (しらい としたか)

    専門
    臨床神経内科 / 脳卒中 / 認知症 / 頭痛 / 感染症
    役職
    脳神経内科主任部長
    資格

    医学博士(慶應義塾大学)
    慶應義塾大学医学部客員准教授
    日本内科学会総合内科専門医・指導医(教育責任者)
    日本神経学会専門医・指導医
    日本脳卒中学会専門医・評議員 日本頭痛学会専門医・指導医・評議員
    日本認知症学会専門医・指導医、日本脳循環代謝学会評議員
    日本自律神経学会評議員
    日本感染症学会ICD
    難病指定医
    身体障害者福祉法指定医
    労働衛生コンサルタント
    日本医師会認定産業医
    日本医師会認定健康スポーツ医
    日本人間ドック学会 人間ドック健診専門医・指導医

  • 井上 幸治 (いのうえ こうじ)

    専門
    臨床神経内科
    役職
    部長
    資格

    日本内科学会認定医
    日本内科学会総合内科専門医
    日本神経学会専門医
    日本人間ドック学会認定医
    日本医師会認定産業医
    難病指定医
    医学博士

  • 馬嶋 貴正 (まじま たかまさ)

    専門
    臨床神経内科 / 脳卒中
    役職
    脳神経内科副部長 /脳卒中科副部長
    資格

    日本神経学会認定神経内科専門医
    難病指定医
    身体障害者福祉法指定医
    認定内科医

  • 木村 礼子 (きむら れいこ)

    専門
    臨床神経内科 / 脳卒中 / 頭痛
    役職
    非常勤
    資格

    日本神経学会専門医
    日本内科学会総合内科専門医・同認定内科医
    難病指定医

  • 二瓶 義廣 (にへい よしひろ)

    専門
    臨床神経内科 / 脳卒中
    役職
    非常勤
    資格

    日本神経学会専門医
    慶應義塾大学神経内科医員

  • 小田 真司 (おだ しんじ)

    専門
    臨床神経内科 / 脳卒中
    役職
    非常勤
    資格

    日本神経学会専門医
    国立精神・神経医療研究センター病院神経内科医員

脳神経内科の診療体制表

午前 木村 礼子 白井 俊孝 馬嶋 貴正 関口 耕史 井上 幸治
午後 井上 幸治 小田 真司 馬嶋 貴正 白井 俊孝

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