花粉症の方にとって、辛いシーズンもそろそろ終わりを迎え、心地よい爽やかな季節となりましたね。
今回のgooDrugは、花粉症治療の中心となる抗ヒスタミン薬とアレルギー治療の舌下免疫療法についてご紹介します。
抗原である花粉が体内に入り、マスト細胞と結合すると活性化したマスト細胞がヒスタミンやロイコトリエンを放出します。
放出されたヒスタミンやロイコトリエンが体に作用することで花粉症の症状であるくしゃみ・鼻漏・鼻閉・目の痒みなどが引き起こされます。
抗ヒスタミン薬は、鼻粘膜でのヒスタミンの働きをブロックすることでこれらの症状を抑えてくれます。
しかし、ヒスタミンは脳内にも存在しており、覚醒や興奮に関与している物質でもあります。
抗ヒスタミン薬は鼻だけでなく、脳でもヒスタミンをブロックしてしまうことで眠気・倦怠感を引き起こします。
眠気や集中力・判断力の低下を招くため、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作や作業に制限がある薬もありますのでご注意ください。
添付文書上に、自動車の運転等の注意記載がない抗ヒスタミン薬として
が挙げられます。
フェキソフェナジンとロラタジンは市販薬としても販売されていますので、ドラッグストアで購入することが可能です。
ご自身の症状やそれぞれのライフステイルに合った薬をかかりつけの先生やドラッグストアの薬剤師と相談して選んでいただけると良いですね。
花粉症やアレルギー性鼻炎は、アレルゲンと呼ばれる原因物質(スギ花粉、ダニなど)によって引き起こされます。
その患者さんでアレルギーの原因となっているアレルゲンを少量から徐々に量を増やし繰り返し投与することにより、
体をアレルゲンに慣らし、症状を和らげる治療法をアレルゲン免疫療法といいます。
舌下免疫療法は、アレルゲン免疫療法の一つで、アレルゲンを舌の下(舌下)に投与する治療法です。
現在、スギ花粉症およびダニアレルギー性鼻炎に対して治療が行われています。
舌下免疫療法は3~5年といった長期間の治療が推奨されています。
まず、問診と血液検査または皮膚テストで、患者さんのアレルギーの原因(アレルゲン)を確かめます。気管支喘息や口腔内に傷や炎症のある方、他の疾患で治療を受けている方、妊婦・授乳婦の方などでは、舌下免疫療法による治療を受けられないことがあります。治療は1日1回で、1~2 分間あるいは完全に溶解するまで舌下に保持し、その後飲み込みます。投与後 5 分間はうがいや飲食を控えます。また、投与前および投与後 2 時間は入浴や飲酒・激しい運動を避ける必要があります。投与する薬剤(アレルゲン)の量は少量から開始し徐々に増量します。副作用への対応を考慮し、初回投与は医療機関内で行い、その後 30 分間は医師の監視下で待機します。翌日からは自宅で患者さん自身が投与しますが、日中や家族のいる場所での投与が推奨されます。
舌下免疫療法を含むアレルゲン免疫療法は、約7割の患者さんで有効性が認められており、
治療を年単位で適切に行った場合、効果が長期間持続し、アレルギー治療薬の使用量を減らすことが期待できます。
また、根本的な体質改善(長期寛解・治癒)も期待される治療法です。
副作用としては投与部位である口腔内の腫れ、痒みなどが最も多くみられます。
特に、投与後少なくとも 30 分間、投与開始初期のおよそ 1 か月などは注意が必要です。
これらの副作用は投与後数時間で自然に回復することが多いですが、症状が長時間持続する場合は、医師に相談してください。
また、アナフィラキシーなど重篤な症状が起こる可能性もあります。
アナフィラキシーと考えられる症状が発現した際は、直ちに医療機関を受診するなど迅速な対応が必要です。
参考資料:日本アレルギー学会 「アレルゲン免疫療法の手引き」
アレルギー性鼻炎ガイド 2021年版
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