2026年5月20日、上野の東天紅にて「第5回 春の交流会」が開催されました。ご多忙の中、138名(90施設)もの地域の医療機関の皆様にご参加いただき、心より御礼申し上げます。日頃お世話になっております地域の先生方と「顔の見える」貴重な交流の機会となりました。開会にあたり、地域医療連携センター長、脳神経外科・脳卒中科の主任部長を務める副院長 篠田純と代表理事の湯浅祐二よりご挨拶を申し上げ、和やかな雰囲気で交流会はスタートしました。
第一部として、新入職医師の紹介をかねた講演が行われました。
4月より当院に新しく入職した腎臓内科部長の末安 慶子から、「かかりつけ医における腎臓病診療」と題し、早期発見・早期治療が重要となる腎臓病についての講演が行われました。
腎臓は、機能が大きく低下するまで自覚症状がほとんど現れません。
さらに、慢性的に進行した腎不全は元の状態に戻すことができないため、日常の診療の中での早期発見が何よりも大切です。
国内のCKD患者は約2,000万人(成人5人に1人)にのぼりますが、腎臓専門医は全国に6,578人しかおらず、かかりつけ医の先生方との連携なしには患者さんを守ることができない現状が示されました。
かかりつけ医の先生方にとって特に実践的な「紹介基準」について、以下のいずれかに該当するCKD患者さんは、腎臓専門医による治療が必要となります。
また、尿蛋白(+)またはeGFR45以下の患者さんについては、3か月に1回の血液・尿検査と経過観察が必要です。
CKD治療において目指すべきは、蛋白・アルブミン尿を減らすことです。
尿蛋白が多いほど末期腎不全や心血管疾患のリスクが上昇しますが、アルブミン尿を減少させることでCKDの増悪を抑えられることがわかっています。
特に糖尿病性腎症では、適切な治療介入によりリスク区分を改善できる可能性があります。
治療の基本は生活習慣の是正(減塩・禁煙・肥満の是正)です。
そのうえで、尿蛋白がある場合はRA系阻害薬を中心とした血圧管理(家庭血圧125/75 mmHg未満)をお願いしています。
また糖尿病合併CKDや蛋白尿を伴うCKDには、血糖降下・腎機能保護・心機能保護の作用を併せ持つSGLT2阻害薬の使用が推奨されています。
なお、SGLT2阻害薬は食事や水分が摂れない「Sick day」には休薬が必要であり、患者さんへの指導が重要となります。
講演の締めくくりとして、今年度より腎臓内科の外来診療が3名体制となったことが紹介され、より多くの患者さんへの対応が可能となった体制が整えられたことが報告されました。
昨年10月より当院外科部長を務める岸田憲弘が「判断に迷いやすい胆嚢炎について」と題して、一般的によくある病気と思われがちな胆嚢炎の「もう一つの顔」について、実際の症例をもとにした講演が行われました。
胆嚢炎は抗菌薬で改善することもある一方、時間とともに急激に悪化し、出血や胆管損傷といった重大な合併症を引き起こすこともある侮れない疾患です。
講演では80歳代男性の症例が紹介され、軽症と診断された後も急速に状態が変化し、緊急手術が必要となった経緯が説明されました。
発症から時間が経過するほど手術の難易度が上がり、線維化や癒着により解剖が不明瞭になることも少なくありません。
急性胆嚢炎の約10%に胆嚢穿孔が認められるとされており、「一見軽微な兆候から、数時間で重篤な超緊急事態へ」と進展するケースもあることが強調されました。
胆嚢炎の典型的な三徴(発熱・腹痛・黄疸)が揃うころには、すでに病状がかなり進行していることが多く、日常診療では以下のような非典型的な訴えに注意が必要となります。
また、「昨日から調子が悪い」という患者さんが実は数日前から症状があったというケースも多く、発症のタイミングを正確に把握することが難しい場合もあります。進行すると胆汁性腹膜炎という命に関わる状態になることもあるため、少しでも胆嚢炎を疑った場合は早めに紹介をしてほしい旨も伝えられました。
当院では24時間体制で救急受入から手術まで、患者さんの状態に応じた治療を専門チームで提供しています。
「“地域で完結できる、最高水準の医療を”というビジョンのもと、スタッフ一同全力を尽くしてまいります。」との言葉で、講演を終えました。
第二部は懇親会として、当院院長 愛甲 聡の挨拶に始まり、ご来賓の下谷医師会会長 田村順二先生、浅草医師会会長 堀 浩一郎先生よりお言葉をいただき、終始和やかな雰囲気の今回の交流会は盛会のうちに終了しました。
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