開催報告 第4回春の交流会(2025.05.21)

開催報告 第4回春の交流会(2025.05.21)

第4回春の交流会を開催しました

2025年5月21日、上野の東天紅にて「第4回 春の交流会」を開催いたしました。ご多忙の中、156名もの地域の医療機関の皆様にご参加いただき、心より御礼申し上げます。また、当院からは58名の職員が参加し、日頃お世話になっております地域の先生方と「顔の見える」貴重な交流の機会を持つことができました。開会にあたり、地域医療連携センター長、脳神経外科・脳卒中科の主任部長を務める副院長 篠田純と代表理事の湯浅祐二よりご挨拶を申し上げ、和やかな雰囲気で交流会はスタートしました。

脳梗塞急性期治療の最前線と当院の強み

まずは、脳神経内科・脳卒中科部長の勝又雅裕が「脳梗塞急性期治療の進歩」と題して講演を行いました。講演では、実際に現場で行われている治療を、動画を用いて詳しく説明し、脳梗塞急性期の重症の患者さんによくみられる症状の解説では、目に見える症状から患者さんの状態をある程度判断ができるよう、実例を交えて紹介しました。

講演の最後には、当院の強みと地域連携への想いを次のように述べました。
「当院の脳神経内科・脳神経外科の協働体制では、脳梗塞患者に対するシームレスな内科・外科治療を実施しており、大学病院に引けを取らない環境で治療が実践できることが強みです。また専門医として知見の強いスタッフが常駐しており、適切な再発予防を脳神経内科的な視点で検討することができます。少しでも疑いのある患者さんがいらっしゃいましたら、ぜひ当院にお任せください」この言葉には、地域医療を支える当院の強い使命感と、地域の先生方との連携を一層深めたいという熱い想いが込められていました。

治療革新の軌跡 CAR-T療法と移植治療における血液内科の進歩

次に「治療革新の軌跡-CAR-T療法と移植治療における血液内科の進歩」と題して、血液内科部長 加藤淳が登壇しました。
2019年から保険適用が承認された革新的な「CAR-T療法」がスタートしたことで、2020年から現在までの5年間で選択肢が大幅に広がった免疫治療について解説しました。CAR-T療法の対象疾患である再発・難治性多発性骨髄腫に対して行われる、以下のような完全オーダーメイドとなるCAR-T細胞の製造・治療プロセスを紹介しました。

  1. 患者さん自身の白血球を採取
  2. アメリカの製造工場に送付
  3. T細胞を分離・活性化しCAR-T細胞を作成
  4. 凍結させたものが日本国内に送付される(期間:1か月~1か月半)
  5. リンパ球を減らした状態で体内に戻し治療

治療が一般的に開始された当初は治療開始後の身体に起こる変化や副作用が懸念されていましたが、現在は安全な管理が可能となっており、全国でもCAR-T療法を取り入れている病院施設が増えてきております。実際に治療を行った患者さんの例をもとに、どのくらいの確率で効果的な結果が得られているのかを説明しました。

最後に「この療法では治療後の継続的な経過観察が重要となり、地域との連携で患者さんをしっかり見守っていくことが大切になっていきます。CAR-T療法はタイミングが移植治療に不可欠なことを踏まえ、地域連携をより一層緊密にし、密接な体制をもとに高度専門治療と地域診療の架け橋となることで、最適な治療を患者さんへ届けることができるように取り組んでまいります」という言葉で、講演を締めくくりました。

講演の後は懇親会も行われ、終始和やかな雰囲気の中、今回の「春の交流会」は盛会のうちに終了しました。
これからも、当院は地域連携を通じてすべての患者さんに最適な治療を提供できるよう努めてまいります。
今後ともご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。