

7月14日(火)に、オレンジカフェ「今から始める安心の準備 『相続・終活』備えておくべき10のこと」と題し、台東区シニアサポート協会 講師 石田栄一氏をお招きし、実際の相談やご経験をもとに、複雑で難しいと思われがちな「相続」について、わかりやすくお話しいただきました。
はじめに、当院の緩和ケア認定看護師から、自身の体験に基づく相続と終活のお話がありました。
普段から病気を抱える患者さんやそのご家族と向き合っている看護師でも、こと身内の相続や終活となると後回しにしてしまい、悔いの残る経験をしたそうです。だからこそ、自分自身も含め、これからをどう過ごしたいかを意思表示しておくことが大切だ、というお話でした。
寿命には「平均寿命」と「健康寿命」の2つがあります。健康寿命を過ぎてからお亡くなりになるまでの期間は、男性で8.73年、女性で12.06年。
寿命の中には、認知症や、日常生活に制限のある「不健康な期間」が含まれていることを知っておきましょう。
認知症の患者数は年々増加しており、2040年には「4人に1人」が認知症になると推測されています。
独居高齢者の数もどんどん増えているのが、日本の現状です。
だからこそ、これからの相続対策は「認知症対策」がポイントになります。

「遺言書」と「遺書」は一字違いですが、まったく違うものです。
遺書が亡くなる前に書くものであるのに対し、遺言書は元気なうちに書いておくもの。
けっして縁起の悪いものではなく、自分の意思・想い・希望を家族にしっかりと伝えることができる、大切な権利です。
エンディングノートとは、自分の意思や希望を記録しておくノートのことです。
活用するメリットは3つあります。
そして、相続・終活を円満に進める何よりのコツは「家族のコミュニケーション」だと強調されていました。
生前贈与には、いくつか方法があります。知っておきたいのが税制改正で、暦年贈与の「生前贈与の3年内加算ルール」が
7年に変更されました(2024年1月1日から適用)。その代わりに、相続時精算課税制度が活用しやすくなっています。
どの方法が自分に合っているのか、改めて考えてみたいところです。
ここでのポイントは、亡くなった親の不動産は名義変更をしてからでないと売却できないということです。
また、不動産の共有名義はできるだけ避けましょう、というお話がありました。そのうえで、誰が相続するのか、
その不動産を一番必要とする人は誰なのか、「不動産をどうするか」は、早めに考えておきましょう。
認知症対策として挙げられたのは、
元気なうちでないとできないことが、本当にたくさんあります。
たとえば家族信託契約を結んでおけば、認知症になった後でも不動産の売買などができるようにしておくことができます。
ここで考えたいのは「お金の置き場所」です。
相続が発生した後、一番早く受け取れるお金は生命保険。「死亡の事実」が確認されれば、すぐに受け取れる仕組みになっています。
また、生命保険には相続税の非課税枠(相続人×500万円)があるため、相続対策として生命保険を活用するのも一つの手だと学びました。
銀行口座やキャッシュカードは、元気なうちに断捨離をして、できるだけ数を減らしておきましょう。
数が多いと、認知症になったときの管理が煩雑になり、相続手続きも大変になります。
葬儀やお墓は自分自身のことだからこそ、元気なうちに家族と話し合い、しっかりと意思表示をしておきましょう。
葬儀に誰を呼ぶかなどもあらかじめ検討しておくことで、悲しみの中にいる家族の負担を減らすことができます。
お墓についても、一般墓、樹木葬など様々な選択肢があります。お墓は家族が管理することが多いため、
家族としっかり話し合うことが大切です。また、お墓は相続放棄ができないため、
維持管理が難しい場合には『墓じまい』という選択肢も持っておきましょう。
メールアドレスや各サブスクリプションのアカウントなど、デジタルで使用しているサービスの整理を行っておきましょう。
これらの情報の管理には、エンディングノートが活躍します。
紙媒体での保管とクラウドでのバックアップを併用し、更新日も明記しておくと安心です。
相続・終活の専門家といえば、弁護士、行政書士、税理士などが思い浮かびます。
しかし実際には、多くの専門家が自分の領域の相談にしか乗ってくれない、というお話がありました。
まずは、あらゆる方面への知見がある、シニアライフ相談サロンやシニアライフカウンセラーなどに相談することをおすすめします。
実際にシニアの方から寄せられる相談は、老人ホームの入居相談、老後資金・年金相談、見守り支援など、
実は多岐にわたります。これらの相談に「ワンストップ」で対応してくれる専門家を見つけておきましょう。

思いがけず、いつ誰にでも起こりうる「相続」の手続きについて、しっかりと勉強することができる貴重な機会となりました。
相続・終活については、「誰に相談すればよいかわからない」というお話をよく聞きます。
まずは役所に話を聞きに行ってみる、街の相談センター等を訪ねてみるなど、アクションを起こすことが重要です。
いつかやろう、と先延ばしにせず、みなさんそれぞれの今現在の環境・状況を見直して、先回りして準備していきましょう!
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