
11月8日(土)当院リハビリテーション科による公開講座「毎日の暮らしが脳のトレーニング!元気に続ける認知症予防」が開催されました。
最初に、当院認知症看護認定看護師から講義がありました。
講義の目的
後天的な脳のダメージによって認知機能が持続的に低下し、日常生活に支障が出る状態のことです。
加齢に伴う自然な物忘れとは異なり、これまで普通にできていたことが難しくなる点が特徴です。
2025年には認知症の人が約700万人に達し、65歳以上の5人に1人が認知症になるとも言われています。
認知症の“予備軍”は、軽度認知障害(MCI)と呼ばれ、認知機能の低下はみられるものの、日常生活は自立して行える状態です。
高齢者の約4人に1人が、認知症またはその予備軍に属するといわれています。
認知症は誰にとっても起こり得るものであり、家族や身近な人が認知症になる可能性を含め、とても身近なテーマです。
だからこそ、互いに自然にサポートし合える社会へアップデートしていく必要があると感じました。
「できごと」と「行為」の間に働く五感を通して働く機能のことです。
例えば知り合いにばったり会ったとき、
この一連の流れをスムーズに行う力こそ認知機能です。
認知機能には様々な能力が存在します。
私たちは色々な認知機能を組み合わせながら生活しています。
認知症を発症すると、この認知機能が低下し、判断力の低下や記憶障害が生じます。
その結果、時間や場所が分からなくなる、仕事や家事が難しくなるなど、生活の中で少しずつ困りごとが増えていきます。
また、本人の中の「あたりまえ」と、周囲が求める「あたりまえ」にズレが生じ、ケアや薬、日常のルールを受け入れられなくなったり、怒りっぽくなったりすることがあります。こうしたギャップが、本人だけでなく家族や周囲の人を苦しめる原因にもなります。
多くの方が認知症の症状が現れ、社会生活に支障が出てから初めて受診されます。そうなると症状の改善や対策が難しくなってしまいます。
一方、MCI(軽度認知障害)で受診ができれば、約44%の方が回復する可能性があると言われています。
そのため、違和感を感じた時点での早期受診が非常に重要だと学びました。
ここで言う「予防」とは、認知症を完全に防ぐことではなく、発症を遅らせたり、進行を穏やかにすることを意味します。
「生活習慣病は認知症になりやすい」という研究結果があり、特に「糖尿病」と「高血圧」には注意が必要です。
現時点の自分の認知機能を観察し、どんなことが得意で、どこに苦手さがあるのかを知ることが大切です。
早めの受診を考える際は、以下のようなことに留意しておくと効果的です。
後半は、認知症予防に効果的な「脳トレ」について、リハビリテーション科からの講義があり、運動の大切さについて学びました。
運動を行うと、脳への血流が増えることで栄養がしっかり届き、認知機能の改善につながるとされています。
身体的な面では、脳が健康になると睡眠の質が向上し、疲労感が軽減。
その結果、身体機能が整い、活動量も自然と増えるという好循環が生まれます。
精神的な面では、「自分ならできる」という自己効力感が高まることで気持ちが前向きになり、外出や交流などの社会参加の機会も増加。
それにより認知的な刺激が得られ、さらにいい影響が期待できます。
つまり、運動と認知症予防は切っても切れない関係にあるということです!
認知(cognition=コグニション)と運動(exercise)を組み合わせた造語で『コグニサイズ』は、認知課題と運動課題を組み合わせた体操のことです。
頭を使いながら運動することで、より効果的に脳の機能を活性化させることができます。
「りんご」→「ごんり」のように、言葉を逆さに言いながらリズムに合わせて足踏みをするコグニサイズです。
“逆さに言う”“足を動かす”“リズムに合わせる”という複数の動きを組み合わせることで、脳への刺激が高まります。
今回のセミナーを通して、認知症は特別な病気ではなく、誰にとっても身近なものであることを改めて実感しました。
大切なのは、「ならないようにする」ことだけではなく、早期に気づき、進行を遅らせ、安心して暮らせる環境を整えることです。
日々の小さな工夫を積み重ねながら、自分らしく健やかに過ごすことが、未来の安心につながると感じました。
今回の学びが、自分らしく元気に過ごすきっかけになれば嬉しいです。
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