開催報告 オレンジカフェ(2025.09.25)

開催報告 オレンジカフェ(2025.09.25)

アートが繋ぐ「生きるためのDIY」

当院認知症疾患医療センターが定期的に開催しているオレンジカフェは、9月25日に東京都美術館を訪問し、「つくるよろこび 生きるためのDIY 」を鑑賞しました。
本展覧会は、アーティスト、建築家、そして路上生活者や災禍を経験した人々など、多様な立場の人々のDIYの実践を通じて、誰もが持つ創造性と「生きること」のつながりを探るという、大変意義深いテーマを掲げていました。単なる作品鑑賞に留まらず、私たちの日常の工夫や生きる力そのものに焦点を当てる内容であり、オレンジカフェの目的に深く通じるものがありました。

芸術に触れ、身体を動かす「アクティブ・アート鑑賞」

今回のオレンジカフェでは、美術館スタッフの方からの素敵なご提案により、「アクティブ・アート鑑賞」からスタートしました。参加者の皆様に万歩計をつけていただき、歴史ある佐藤慶太郎アートラウンジを見学したり、美術館の外にある彫刻作品を鑑賞したりと、まずは身体を動かしながら館内を散策する時間を取りました。
この散策は、建物や空間、そして屋外の芸術作品を五感で感じ取る、まさに「DIY(自分でやってみる)」の精神に通じる時間となりました。体を動かし、気分をリフレッシュしてから展覧会に入場することで、参加者の皆様はより意欲的に作品に向き合えたようでした。

 

五感で楽しむ体験コーナーで創造性を発揮

展覧会では、5組の現代作家と2組の建築家による多彩な作品に触れました。版画、ドローイング、言葉、写真、映像、インスタレーションなど、多様な表現でつくりあげられた空間を鑑賞した後、参加者全員が特に楽しんだのが「参加型作品の展示」です。
これは「DIYについて考え、実際に手を動かして体験できる」コーナーであり、皆様は大変積極的に活動されていました。木材に紙を置いて木目を鉛筆でなぞるフロッタージュ体験では、それぞれの木の個性や質感を発見する喜びを味わい、また、箱の中に手を入れ、中身を触って予想したものをもう一人の人が絵に起こすコミュニケーションのワークショップでも、皆様は笑顔で熱中されていました。
この体験は、作品を受け取るだけでなく、自ら手を動かし、触覚や想像力を使って表現する「つくるよろこび」そのものです。参加者同士が協力し合い、創造性を分かち合う、活気あふれる時間となりました。

 

「つくるよろこび」が持つ力

今回の「つくるよろこび」というテーマは、私たち一人ひとりの心の中にある「生きる力」や「工夫する力」に光を当ててくれました。認知症とともにあっても、あるいは介護に奮闘する日常の中にあっても、喜びや活力を自ら見出し、「人生を自分でつくる」ことの大切さを改めて感じさせてくれた鑑賞会となりました。
ご参加くださった皆様、和やかな雰囲気の中で、アートを通じた心豊かな時間を共有できたことに心より感謝申し上げます。

認知症疾患医療センターは、認知症の方やそのご家族、介護・医療の専門職、地域の方など誰でも気軽に参加できる様々なオレンジカフェを企画してまいります。お気軽にお越しください、お待ちしております。