
1月29日(木)に、柳橋分院の栄養科・管理栄養士の二人による「減塩セミナー〜からだに優しい味付けで毎日を豊かに〜」が開催されました。
柳橋分院では、入院患者さん一人ひとりの健康と早期回復を目指し、栄養科が日々心をこめたメニューを考案し提供しています。
月に一度、季節感を取り入れた献立や見た目にも華やかなイベントメニューを企画し、入院生活の中でも食事の楽しみを感じていただけるよう工夫しています。
こうしたメニューは治療・回復を目的とした「回復食」です。
そのため、今回のテーマである「減塩」についても特に気をつけてメニューを組み立てる必要があります。
昨今の日本では、「脳血管疾患」と「心疾患」が原因で亡くなる方の人数が年間で約33万人を上回っています。
この疾患と大きく関わっているのが「高血圧」です。
血圧が高い状態が治療・管理をされないまま続くと心疾患や脳血管疾患などの重大な疾患を引き起こすリスクが高まります。
WHO(世界保健機関)より世界的な公衆衛生課題として、高血圧制御の必要性が訴えられています。
また厚生労働省では、このような重大疾患の危険因子の中で高血圧がトップに挙げられ、その予防法・管理法が「死亡率低下の鍵」であると位置付けられています。
高血圧症は音もなく進む危険な病気です。
上の血圧が140mmHg以上、または下の血圧が90mmHg以上の状態が続くと、「高血圧症」と診断されます。
その原因として、食生活(塩分の摂りすぎ)や生活環境(運動不足)が大きく影響しています。

では、なぜ食塩を摂り過ぎると血圧が上がってしまうのでしょうか?
体に入った塩分は、そのままでは濃すぎるため、体は水分をため込んで薄めようとします。
その結果、血液量が増え、血管にかかる圧力が高くなることで、血圧が上昇してしまうのです。
日本人の一日の食塩平均摂取量は10gとされていますが、WHOでは5gが推奨されています。
世界に比べ、日本人は塩分を多く摂取しがちであることが、この数字からもわかります。
食文化の影響で、漬け物や干物など塩を多く使った食品が身近にあることから、日本では
が、目標基準とされています。
高血圧症と診断された場合は6g未満が基準とされ、さらに厳しくなります。(ラーメン1杯でオーバーしてしまいます。)
減塩を心がけることで、血圧の薬を飲むのと同じくらいの効果が期待できるといわれています!
毎日の食事で少しだけ塩分を気に掛けるようにするだけで、危険な病気から体を守ることにつながるかもしれません。
早速今日から「減塩」を始めてみましょう!
1位 しょうゆ
2位 味噌汁
3位 食塩(調味料として)
4位 漬け物類
このように、食塩摂取全体の約半分を「調味料」から摂っていることがわかります
人は舌に感じる「五味」を楽しみながら食事をしています。
そして、下記のような「感覚」と組み合わせながら、脳が「味」を判断しています。
これらの情報を脳が総合的に判断し、「おいしい」と感じています。
つまり、この脳の特性をうまく活かすことで、塩分を減らしても満足感のある食事が可能になるのです!
減塩というと「味を薄くする」とういうイメージを持たれがちですが、実は味をつけるタイミングと方法を工夫することがポイントです。
実は、汁物は心と体の健康にも深く関わっています。
味噌汁やスープには、トリプトファンという成分が多く含まれています。
トリプトファンにはアミノ酸の一種で「セロトニン(幸せホルモン)」の材料となる栄養素です。
セロトニンには、
といった働きがあり、心身の健康を保つ上で欠かせません。
ただし、汁をたっぷり飲むと、塩分摂取量も増えてしまいます。
そこでおすすめなのが、汁を「飲む」から「食べる」へ変えることです。

具材をたっぷり入れることで、
といったメリットがあります。
減塩の工夫として「とろみ」を活用する方法もあります。
片栗粉でとろみをつけることには、次のようなメリットがあります。
とろみがつくことで、調味料が食材にしっかり絡み、少ない塩分でも味を感じやすくなります。
忙しい毎日の中で、市販のお惣菜や漬物を活用することは決して悪いことではありません。上手に取り入れることで、食事作りの負担を減らすことができます。


減塩を無理なく続けるために大切なのは、毎回の食事でどのくらい塩分をとっているか「見当」をつけることです。

また、日頃から食品の「栄養成分表示」を確認する習慣をつけましょう。
この数値を見ることで、自分がどのくらい塩分をとっているのかを把握することができます。
塩分の見当をつけることで、「塩分をとりすぎたから、今日は控えめにしよう」といった調整ができるようになります。
講義の最後には、味覚を鍛えるためのポイントについて、実際に食事をしている場面を想像しながら、参加者の皆さんと一緒に実践しました。
まずは香りを確認し、口の中全体でゆっくり味わい、五味を意識しながら感じ取ること。そのひと手間を加えるだけで、普段何気なく口にしている食事の味わいが、より豊かに感じられることを体験していただきました。
減塩は「我慢」ではなく、五感、特に嗅覚や触覚をフル活用し、脳を満足させるテクニックなのです。
からだにやさしい味付けは、これから先もずっと「おいしく食べ続ける」ための大切な知恵。