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まずはよく耳にする「フレイル」という言葉について、詳しく解説いただきました。加齢によって心身の活力が低下し、生活機能が少しずつ衰えてきた状態を言います。病気そのものではありませんが、放っておくと寝たきりや要介護状態につながる可能性があります。
しかし、早めに気づいて予防に取り組むことで、元の元気を取り戻すことも可能です。
今回は、その方法について学びました。
フレイルになると、病気にかかりやすくなったり、ストレスに弱くなったりします。また、入院や生活環境の変化をきっかけに、気持ちが混乱したり、感情のコントロールが難しくなることもあります。このように心身のバランスを崩しやすくなるため、精神的なストレスを感じやすいのも特徴です。
フレイルは年齢とともに増え、80歳を過ぎると約3人に1人(35%)にみられるといわれています。
フレイルは、次の3つの要素で構成されています。
この3つの要素のバランスが崩れることで、お互いに悪影響を及ぼし、フレイルが進行しやすくなります。

フレイル・要介護の状態にならないように予防していくことが大切になっていきます。
毎日の食事は、元気のもとです。
食べることを楽しみながら、体重(BMI)が大きく増えすぎず、減りすぎないように心がけましょう。
ポイントとしては、
 主食:ごはん・パン・麺類
 主菜:肉・魚・卵・大豆料理
 副菜:野菜・きのこ・いも・海藻料理
しっかり食べることも、フレイルの予防につながることを学びました。
タンパク質は、体を動かすエネルギーのもとであり、筋肉や血液、皮ふなどをつくる大切な栄養素です。特に、筋肉を保つことでフレイルを防ぐことにつながります。
タンパク質は、魚、肉、卵に多く含まれています。
毎日の食事で、主菜(おかず)を中心にタンパク質をとることを意識しましょう。

フレイルの最大の原因は筋肉の衰えです。筋肉が衰えると歩行能力や日常生活で体を動かす力も低下し、心身ともにフレイル状態が進行してしまいます。
何もしないと筋肉は毎日衰えていきます。少しずつでも定期的に続けることが大切です。トレーニングは、週に3〜4回ほど行うのが効果的です。強さの目安は「少しきついくらいかな」と感じる程度(およそ60〜80%の強度)です。
例えば、
といった活動でも十分トレーニングになります。
健康状態を保つために、1日にどのくらい歩くとよいかという目安が国から示されています。
ちなみに、6,000歩はおよそ60〜70分の歩行、約3.5〜4.5kmの距離にあたります。
運動は、週2日以上・1日30分以上を1年間継続することが理想的な目標です。
まずは、無理のない範囲で続けていきましょう。
「外に出かける」ことも立派な運動習慣になりますよ!
ここからは、実際に身体を動かしながら、自分でできるトレーニングを学びました。







このトレーニングを全て毎日行うことは難しい、ということで、特に効果的な二つを挙げていただきました。
全身運動になるので、これだけでも十分なトレーニングになります。毎日、朝50回・夜50回を目標に、無理のない範囲でがんばりましょう!
ポイントは、「ゆっくり座る」動作です。ゆっくり座ることで太ももやおしりの筋肉をしっかり使うことができ、より効果的な運動になるそうです。
背筋を伸ばして呼吸をする癖をつけましょう。1セット10回を毎日行いましょう。
ポイントは、吸う時間を長くすることです。お腹に空気が入り、背筋が自然と伸び、姿勢が整いやすくなります。
これらのトレーニング・運動は、フレイルを予防するためだけではなく、「転ばない力」をつけるためにもとても大切です。
年齢とともに筋力が落ちると、思わぬところで転びやすくなります。
転倒は、骨折やけがの原因になることが多く、その後の生活に大きく影響します。
動けなくなることで、身体の様々な場所の不調に繋がってしまいます。そのような状態にならないためにも、日頃から筋力を維持することがとても大切です。
無理のない範囲で、できることから運動習慣をつけていきましょう。
今回は「フレイル」について学びました。
セミナー後半では、理学療法士による手軽にできる運動をみなさんと一緒に実践でき、楽しく体を動かしながら学ぶことができました。
日常生活の中のちょっとした工夫で「健康寿命」をのばせること、そして続けることの大切さを実感できる時間となりました。
また、今回ご参加いただいた方の中には、94歳の方がいらっしゃいました!
週に3回、ラジオ体操を行っているそうです。その元気と継続力、ぜひ見習いたいですね。