訪問リハの現場から

訪問リハの現場から

はじめに

今回のYANAGIBASHIかわらばんはリハビリテーション科の理学療法士・木村が担当します。

私は訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)を主に担当しています。

今回は病院を出て、地域で業務に当たっている私の視点から、いろいろ書いてみたいと思います。

訪問リハとは

訪問リハは読んで字のごとく、リハビリテーションスタッフが対象の方のご自宅に訪問して行うリハビリテーションサービスです。基本的には介護保険による介護認定を持っている方を対象としています。

当院訪問リハの業務範囲はおよそ当院から2km範囲を基本として、台東区や隣接する墨田区、中央区、千代田区にわたります。

現在当院で訪問リハを行っている職種は3つあります。

  • 理学療法士(PT) 主に身体機能の維持改善を目的とします。
  • 作業療法士(OT) 作業を通して生きがいや活動・参加への支援を行います。
  • 言語聴覚士(ST) 失語症など言葉やコミュニケーションに関わる問題や食事の飲み込み(嚥下)等をサポートします。

その方の状況に応じて各職種が協力して訪問リハを行っています。

コロナ禍での訪問リハ

この3年間はコロナ禍での訪問リハとなりました。緊急事態宣言に始まり、世の中は外出制限。これまでの生活が一変してしまいましたね。
東京の筆頭ともいえる観光地である浅草では観光客の姿は少なくなり、雷門前には人力車の方々しかみられない状況でした。私の職場では飲み会や歓迎会、忘年会も無くなりました。そんな中、私は感染予防、ワクチン接種、頻回な抗原検査の実施など医療従事者として、個人として最大限に注意を払いました。しかし、利用者や職員の中にも感染した人がいないわけではなく、訪問という仕事柄、色々な人の家へ行くので「感染したらどうしよう」、「もし感染してしまって誰かを感染させたらどうしよう」などという不安が常にありました。そんな中で、基本的な対策としてはマスクや手洗いと消毒、ソーシャルディスタンスを続けるしかありませんでした。皆様のご協力もあり、お蔭様で現在に至るまでなんとか私は感染することなく、訪問リハ業務を継続することができています。
コロナ禍による社会的な外出制限で足腰や体力が衰えたという話はよくありました。コロナ禍の期間による人々の活動量減少に伴う身体機能の衰えは現在も影響していると感じます。

そして今年になってから

本年5月から分類が変更になり、お祭りや花火大会、音楽フェスの開催など元の生活に戻ったような感じがします。以前はニュースで毎日新規感染者数の発表がありましたが、急になくなり、この数年のパンデミックは終わったのか、くらいに感じている人もいるのではないでしょうか。

街中には外国人観光客の姿が戻り、原付バイクを押して歩く私の姿を何度か写真に撮られたこともあります。珍しいのでしょうか。自慢じゃありませんが、私はほとんど英語が話せません。たまに道を外国人に尋ねられますが、ある時、思いっきり日本語と身振り手振りで話が通じたことがありました。下手に英語を話そうとしてしどろもどろになるより、意外と場所の名前程度で通じるものですね。もし込み入った話が必要なら、今は自動翻訳機みたいな便利な機械があるのでそれを使えば良いと思います。しかし、外国人の方って「東京」のことを本当に「トキオ」って言うんですね。歌手の沢田研二さんを想像してちょっと笑ってしまいました。

それから、今年の夏はとにかく暑かった!です。何回この言葉を言ったことでしょう。訪問リハビリを原付バイクで移動をしている私は、お湯をぶっかけられたかのような風と道路や建物からの照り返しはきつかったです。直射日光はもう皮膚を軽いヤケド状態で、会う人からは「よく焼けてるね」とか「丸焼けだな(笑)」とか言われます。
ニュースで熱中症に対する注意が呼びかけられていることもあり、さすがに訪問宅でエアコンを使用されていない家はありません。エアコンを27℃設定にしてあっても、リモコンの表示が小さいため、なぜか冷房ではなく暖房になっている人もいます。案外、気が付かないものです。気を付けましょう。また、熱中症予防として大切な水分補給に関しては個人差があります。私がちゃんと水分を摂ってます?と尋ねると、飲んでるよ~という返事が返ってきます。しかし、摂取量を聞いてみるとみなさん明らかに全然足りていません。もう季節がずいぶん涼しくなったので、夏場ほどニュースではとりあげられませんが、これからの季節は隠れ脱水ということもあり得るように、冬場の水分補給も大切です。デイサービスなどを利用している方はスタッフの方から促しがあるかもしれませんが、家に一人でいる時はなかなか水分補給をしている人は少なく感じられます。このような健康管理に対する助言や注意喚起も訪問リハのひとつの役割です。

住み慣れた家で暮らすためには

当院での訪問リハ開始にあたっては2つの契機があります。1つ目は病院を退院後、自宅での生活に不安があったり、入院中にできなかったことを実際の場面でできるようになるため。2つ目は足腰が弱ってきて、生活に不安を感じてきた、という場合です。回復期リハビリテーション病棟などで入院中にしっかりと身体機能の向上を図った方は、勉強でいえば復習と確認のようなもので、比較的早期に訪問リハを卒業されるケースが多いです。

いっぽう、特に病気やケガをしたわけではないけれど、身体機能が衰えてしまったという方は、訪問リハにお伺いする期間が長くなることが多くなります。一般に、「リハビリ」といえば、筋トレなど運動をイメージされる方も多いかもしれません。しかしあえて意気込んで運動!とはいかなくても、日々布団やベッドから起きて、椅子から立ったり座ったり、家の中を歩いて移動するなど、生活をしていただくことそのものが体を動かすことになります。



他にもトイレへ行く、お風呂に入る、冷蔵庫へ行く、掃除や整理をするなど家の中で色々やることはあるでしょう。さらに買い物や散歩、何か美味しいものを食べるなど外出をすることができればもっと活動が増えます。これらの習慣的な活動を、可能な限り自分で行うようにすることが衰えを防ぎ、病気やケガを防ぐことにつながり、住み慣れた家でこれからも暮らしていけることになると考えています。

我々は、何かをあきらめてしまう小さなきっかけのところで相談していただき、できる方法を一緒に考え、サポートすることで、対象者の方のさまざまな暮らしの中の事柄を続けていただけるように、という思いを持って日々業務にあたっています。

当院の訪問リハの利用を希望される場合は、ご自身の担当ケアマネジャーに相談ください。そこから相談をいただくことが必要となります。

わからないことがあれば、当院にお問い合わせいただくことも可能です。ぜひ、お気軽に相談してみてくださいね。

今回のかわらばんは以上です。
次回もお楽しみに!!
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