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nurse_days ナースの日々

認定看護師研修1 認知症ケア

5月30日、認定看護師研修1として、当院認知症看護認定看護師による認知症ケアについて改めて深く理解するための講義が開催されました。2024年に制定された「認知症基本法」により、認知症に対する考え方が社会的に大きく変化している中、より患者さんに寄り添う看護が実施できるよう、現場での理解がとても重要になっています。今まで得た知識や経験を活かしつつも、一から学び直す気持ちで今回の研修に臨みました。

2025年には日本における認知症患者が推計700万人、認知症またはその予備軍が高齢者の約4人に1人になると言われているほど、認知症は誰に対しても身近なものとなってきています。

MCIと呼ばれる「軽度認知症」、健常者と認知症の中間にあたるグレーゾーンの状態の時に発見できれば、早期に対策ができ認知症の発症を予防または遅らせることができます。しかし実際には、多くの診断が軽度から中等度認知症の辺りのタイミングで行われていることにより、回復できたものができなくなってしまったり、適切な対応がなく病状が悪化したり進行してしまうケースが多いのです。

家族や周りの人が気づくための指標となる「早期発見のめやす」のチェックリストがとてもわかりやすかったのでご紹介します。

海馬の働きをくわしく学ぶことで、正常な状態(正常なもの忘れ)と、認知症のもの忘れの違いの判断の仕方、具体的な症状例をもとにあらゆる方向性から認知症患者さんを取り巻く世界を勉強できました。

認知症の特徴について

大きく分けて4つに分類できる認知症のそれぞれの特徴も学びました。

4大認知症の中の複数が混ざり合って発症していることがほとんどであり、厳密に鑑別診断を下すことは難しいそうです。診断を下すことよりも、症状をしっかり観察して判断していくことが大切です。

それらの病状により生じる、

  • 認知症をもつ人の身体的な苦痛(認知機能低下、その他の疾患による身体症状)

のみならず、

  • 社会的な苦痛(仕事上の問題・人間関係・経済的な問題・家庭内の問題など)
  • 心理的な苦痛(居心地の悪さ、疎外感、理不尽、不充足感など)
  • スピリチュアルペイン(自分という存在への揺らぎ、無意味、無目的、虚無など)

という全人的な苦痛を受けとめることが大切です。
私たち周囲の対応次第で、さらに苦痛を強め症状の悪化をさせてしまう可能生があります。

認知症ケアについて

認知症患者さんは、わからないことが増えていくことに対する不安や恐怖を募らせています。その恐怖や不安を取り除いてあげるようにするにはどう接するのが一番良いのだろう?ということを常に考えながら接することが大切だと感じました。

せん妄について

認知症のある人は入院直後にせん妄が起こりやすい特徴があります。ただ、せん妄の激しい状態は3〜4日と言われていることもあり、3日間適切な治療とケアで関われば多くの場合改善の兆しを見込めるものです。せん妄をさらに助長させるような「身体拘束」や「不適切な薬剤の使用」に対しては、特別慎重に検討したいものです。

急性期の入院は、せん妄を前提に予防ケアをすることがとても重要になってきます。
せん妄の誘発因子である

  • 環境の変化
  • 身体的要因
  • 感覚的要因
  • 心理的要因
  • 睡眠障害
  • 身体拘束や術後安静指示などによるストレス

を、意識的に取り除いてあげることで、患者さんの不安を取り除き症状を改善できる可能性が高くなっていきます。

✅ 視野の中に入って声をかける
✅ 普段よりも一歩近いところから話しかける
✅ ケアの道具を見せてあげたり、手を握ってあげたりのボディタッチを行う
✅ アイコンタクトを取る・目線を患者さんより低めにする 
など、出来る工夫はさまざまです。

    研修を終えて

    グループワークで実際の現場の状況を再現してみるなど、とても内容の詰まった2時間にわたる研修でしたが、認知症に対する知識を増やすことができ、さらに理解が深まりました。「認知症ケアには型がないんです」という講師のお話からも、看護師一人ひとりの理解と工夫が患者さんに合ったケアを実現させるために大切なのだと改めて感じました。
    高齢化社会の日本において日々患者さんが増えていくことを踏まえ、現場での実経験・実践からも学びながらよりよい看護・ケアができるように努めていきたいと思います。

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    • 職員食イベントメニュー ✧5月編✧

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