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nurse_days ナースの日々

第10回 イポーメアの会

1月30日(金)に、今回で10回目を迎える「イポーメアの会」が開催されました。
第10回となる今回は、『退院調整に視点をおいた入院患者との関わり方〜事例からわかる訪問介護の現場の実際〜』と題し、ソフィアメディ訪問看護ステーション入谷の春日美穂所長を講師にお招きしました。
当院の看護師をはじめ、地域の訪問看護師、訪問リハビリスタッフ、訪問診療医、ケアマネジャーの皆様など、多くの方々にご参加いただきました。誠にありがとうございました。

   

訪問看護ステーションと訪問業務・制度について

台東区には訪問看護事業所が34箇所あります。
2か月ごとに連絡会を開催し、できるだけ密な情報共有を行っているとのことです。
講義では、訪問看護の実際について、一週間のスケジュール例を交えながら説明がありました。
きちんと組まれているように見えるスケジュールも、急な体調変化や予測できない出来事が起こる現場では、その都度調整を重ねながら成り立っていることが紹介されました。

訪問看護を開始するには、主治医による「訪問看護指示書」が必要です。
入院されている患者さんが、退院後も引き続き看護を必要とする場合、ケアマネージャーや病院から訪問依頼を受けて開始となるケースが多く、入院を経緯とする依頼が7割を占めているとのことでした。

訪問看護には、介護保険による訪問と医療保険による訪問の2種類があります。

介護保険での訪問

介護保険を利用する場合は、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づき、他の介護サービスと組み合わせながら、支給限度額の範囲内で利用します。

  • 1回あたり30~90分の時間制
  • 利用頻度はケアプランに基づき調整
  • 他の介護サービスとのバランスを考慮して利用

生活支援やリハビリなど、在宅生活を支えます。

医療保険での訪問

医療保険での訪問は、病状や医療的管理の必要性に応じて行われます。

  • 原則として週3回まで
  • カテーテル管理、ストーマ、在宅酸素療法(HOT)など医療処置が必要な場合は回数制限なし
  • 神経難病、頸髄損傷、人工呼吸器装着状態などの場合は、1日3回まで訪問可能
  • 1回あたり30~90分、必要な時間で介入

医療的な処置や継続的な健康管理が必要な方を支えます。
※医療処置の内容によって大きく料金が変わるわけではありませんが、適用される保険制度によって算定方法や自己負担額は異なります。

事例をもとにしたグループワーク

事例をもとに、退院前に病院で調整すべき事項を洗い出し、必要な介護サービスの選定や退院後の看護内容について検討しました。
そのうえで、「看護ケアのみでなく本人・家族の生活が持続可能なプランを作る」ことを目標に、最適な支援のあり方について話し合いました。
各グループからは、知識と経験をもとにした具体的な提案が発表され、先を見越した工夫や視点が多く共有されていたのが印象的でした。

最近のトレンドについて

医療機器の進歩

医療機器の進歩により、在宅でも病院と同等のケアを受けられるようになっています。
人工呼吸器、CADD・カフティポンプ(携帯型の輸液ポンプ)、腹膜透析などが普及したことで、これまで入院管理が必要とされていた麻薬や強心薬などの微量な輸液も在宅で管理できるようになっています。
また、電子カルテやMCS(医療・介護現場で利用されているコミュニケーションツール)の普及により、タイムリーな情報共有も可能となっています。

在宅での看取り希望の増加

若年層から高齢者まで、自宅での看取りを希望する方が増えています。
15年ほど前までは病院での看取りが一般的でしたが、価値観の変化が見られています。

入院期間の短縮

入院期間の短縮により、医療的ケアを必要とする状態で退院するケースも増えています。一方で、その後の支援次第で回復が期待できる方も多く、在宅での支援の重要性が高まっています。

独居高齢者の増加

独居高齢者が多い台東区ですが、介護資源が比較的多く利用しやすいこと、家族や友人が近隣に住みサポート体制を築きやすいという側面もあります。

在宅療養を検討する際の視点

体制が整い在宅看護の可能性が広がる一方で、慎重な検討が必要な場合もあります。

  1. 退院時に医療機器・医療処置が必要もしくは使用する可能性が高い場合
  2. 退院前と比べ入院中にADL(日常生活動作)や認知面が著しく低下した場合(要支援→要介護レベルなど)
  3. 短期間での入退院を繰り返している場合
  4. 完全独居・日中独居などで家族支援の見込みを慎重に評価する必要がある場合


患者さんの「家に帰りたい」という思いを尊重しつつ、現実的な生活環境を見極めることが重要であると感じました。

訪問看護でできること・難しいこと

訪問看護でできることは主にこのような処置になります。

  • 医療機器の管理
  • 点滴管理・注射類
  • 胃瘻・ドレーン、チューブ類の管理
  • 内服管理・セット
  • 創処置
  • 排便処置
  • 介護指導
  • おむつ交換・入浴介助など(指導だけでなく実施することもあります)


逆に、訪問看護では調整・管理が難しい処置もあります。

  • 2~3時間ごとの頻回な痰吸引

  →基本的には家族または看護師が対応することになります。少なくとも緊急時に家族が自力で吸引できるようになるまでの指導が必要です。

  • 胃瘻・腸瘻からの1日3回以上の滴下注入

  →家族が確実に実施できる体制があれば可能です。ただし拘束時間が長く、抜去リスクが高くなります。胃瘻の場合は、半固形栄養という選択肢もあります。

  • 1日2回以上の血糖測定・インスリン調整

  →本人または家族に意欲と実施能力があれば対応可能です。1日1回の持続型であれば看護師の訪問で対応できる場合もありますが、あまり推奨はされていません。

  • ポンプを使用しない24時間持続輸液

  →滴下数が安定しにくく、トイレなどの移動時に抜去のリスクが高くなります。

  • 1日2回以上の確実な内服管理

  →1回であれば、要介護1レベルでも介護サービス介入時に服薬支援は可能です。在宅での負担を考慮し、できる限り入院中から最小限の内容に調整しておくことが望まれます。

退院前からできる限り治療内容を簡素化し、在宅で無理なく継続できる形へ調整していくことが重要であると学びました。

まとめ

  • 入院中から在宅復帰に向けた計画的な情報収集を行うことが重要です
  • 退院前カンファレンスで病院から在宅への切れ目のないサポート体制を整えましょう

  • 入退院は、患者さんの人生の大きな転機となることが少なくありません。

退院前カンファレンスは、本人・家族が安心して在宅生活へ移行するための大切な機会です。
現場で判断に迷う場合には、訪問看護ステーションへ気軽に相談できるという点も心強く感じました。
地域で支え合いながら、よりよい在宅支援につなげていきたいと思います。

―イポーメアの会とは?

当院と関わりの深い、台東区・墨田区・荒川区の地域コメディカルの皆様との交流の場を作りたい!という願いから設立されました。イポーメアは、台東区の区花・朝顔が属している、サツマイモ属をイタリア語に訳した『Ipomoea(イポメア)』に由来しています。
イタリアは、近代看護の母であるフローレンス・ナイチンゲールの出身地でもあります。

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